第27章 Sparkling girl (木兎光太郎)
家に帰ってからつばさはご飯も食べずベッドの上でふさぎ込んでいた。おまけに最終手段とはいえ、赤葦とのことまで話してしまったのもまずかった。
貴(京治にも迷惑かけてるな)
おそらくもう赤葦も帰ってきているだろう時間を見計らい、赤葦の自宅へと向かった。
赤葦の部屋のドアをノックし声をかけるとバタバタと音がし返事があった。
赤「つばさ!どうしたんですか」
赤葦がドアを開ける。
貴「ごめん。婚約の事、木兎さんに話したの謝りに来た」
赤「とりあえず、入って」
二人はテーブルを挟んで座った。
貴「ごめん、ややこしいことになったよね」
赤「あ~~~、まぁ事情は分かってもらえたから大丈夫です。で、何で目赤いんですか?」
貴「赤くないよ」
赤「・・・木兎さんの事で泣いたんでしょ?」
貴「・・・私さ“恋なんてしない”ってずっと思ってた。だって結婚するのは親の決めた相手だよ。そのときに絶対別れなきゃいけなくなって辛くなるって思ってさ。だったら恋なんて知らない方がいいと思って・・・」
知らず知らずに涙声になる。
貴「恋を知らずに結婚すれば、その人を好きになれるかもしれないって思って誰にも近づかないようにしていたの」
貴「でもね木兎さんは違ったんだ。絶対に諦めなくて自分の感情をぶつけて私の心をこじ開けようとするから嫌いになれなくて。・・・こんな気持ち知らない方がよかった」
つばさの頬を涙が伝う。
貴「・・・京治は一生私の味方でいてくれる?」
赤「そうですね。とりあえず今は協力できそうですよ」
そういっておもむろに立ち、クローゼットを開ける。とそこにはいないはずの木兎が座っていた。