第27章 Sparkling girl (木兎光太郎)
こうして日曜日、練習試合を見に行くことになったつばさは梟谷の体育館へと向かった。
さすがに強豪と言われているだけあってゲームの流れも完全に梟谷のペースだ。木兎のスパイクが決まり遠目で見ても調子が上がってきてるのがよくわかる。
貴(あんなインナースパイクよく打てるなぁ。普段はあんなだけど・・・、バレーやってる時はちょっとかっこいいかも)
とその時タイムになった瞬間木兎とばっちり目があい、思いっきりの笑顔で手を振られた。
かっこいいって思ったの伝わっちゃった?!なんてドキリとしつばさは自分の感情に戸惑う。
始めは乗り気ではなかったつばさだったが、ゲームが進むうちにどんどんと見いってしまっている。
そのうち、木兎が熱くなりすぎ、立て続けのミスをした。これにはいつものしょぼくれモードになってしまい、ほかのメンバーがイキイキとし始めたのをみてついつばさも頬が緩んだ。
貴(これが京治の言ってたしょぼくれモードか。いつもはあんなんだけど、なんだか可愛いじゃない)
・・・本音を言えばでつばさだって年頃の女の子だ。人並みに恋だってしてみたいとも思う。だけど家の跡継ぎの兄がいなくなった今、つばさが継がなくてはいけなくなってしまった。口では嫌だと言っていても、そうはいかないのが現状だ。
たとえ恋人ができたとしても、その先にあるのは別れしかないのだと思うとつばさは胸が締め付けられ、真っ暗闇の中に突き落とされたように感じるのだ。
貴(これ以上、関わっちゃダメだ)
つばさの心が警告音を鳴らすようにそう感じていた。
それからのゲームの流れも結局梟谷のペースで2―0で練習試合は終わった。
つばさは肩の荷が下りたような、それでいて気持ちがざらざらするような落ち着かない気持ちのまま、体育館を後にした。