第27章 Sparkling girl (木兎光太郎)
一方さすがに毎日断るのも疲れてきたつばさも、赤葦の家に乗り込んできた。こうなると割を食うのは赤葦だ。
貴「ちょっと京治。いい加減木兎さん何とかしてくれない?大抵の人って1回断ると来なくなるんだけど、木兎さん諦めてくれないのよ!」
貴「それに仮に付き合うコトになったってうちのお婆様が許さないし、京治か、どっかのボンボンと結婚しなきゃいけないんだから彼氏が出来たって無駄じゃない」
赤「俺、つばさとの結婚に関しては納得してないけど・・・」
貴「私だって納得してないわよ!今どき親が決めた相手と結婚するなんて時代錯誤にもほどがあるわ」
赤「だいたいつばさがお婆様にいい顔ばっかりするからだろ?」
貴「そんなのうちには兄キがいるのに私に跡継ぎなんてお鉢が回るなんて思うわけないじゃない!!」
貴「なのにあのバカ兄ときたら、遺跡発掘するって勝手にペルーに逃げたのよ!!しかもそこで知り合ったボランティアの女性と結婚なんて信じらんない!!やられたわ」
赤葦はうんざりしていた。そう、つばさは黙っていれば深窓の令嬢だ。長年身につけた猫かぶりがすっかり板についているのだが、ひとたびキレるとお嬢様そっちのけでとんでもないことを言う。
貴「それに結婚の事だって、今まで兄妹みたいにして育ってきた京治とエッチするなんて想像できないし。京治はどうなのよ?男だから想像できちゃうの?」
赤「つばさ、仮にも女の子だからそういうコトいわないでくれないか」
赤葦は頭を抱えた。女の子なんだからもう少し慎みを持ってほしいのだがいったんこうなると赤葦にも手におえない。
赤「とりあえず、つばさに相手してもらえなくて木兎さんがしょぼくれているんで、1回だけでいいから今度の日曜の練習試合見に来てやってくれません?」
貴「何で私が行かなきゃいけないのよ」
赤「お願いします。木兎さんにはそれで諦めてもらいますし、つばさには甘いものでも奢りますから」
貴「じゃ、千〇屋のフルーツパフェで手を打ってあげる。ただし、1回しか行かないからね」