第24章 カレシノジョウケン(灰羽リエーフ)
そして私たちはホテルに向かった。ちょっとドキドキしながら店内に入る。
大きなショーウィンドウには彩り綺麗なケーキの数々があり、私の心はおどった。
貴「リエーフ!ありがとう。すっごいおいしい」
リ「喜んでもらって嬉しいっス」
リエーフも嬉しそうにケーキを口に運ぶ。
リ「あ、つばささん、クリーム右の口端についてるっス」
貴「え、やだ!」
私は慌てて口端を拭う。
リ「あ、すみません。俺から見て右だからコッチ」
リエーフの長い指が左の口元に触れ、クリームを拭い指を自分でなめた。私は動揺を隠しつつ、ナプキンで口元を拭った。
だ、だめだ。顔上げられない。今絶対私顔が赤い。当のリエーフは平然としている。
なんていうか・・・天然なのかなぁ?
リ「どうしました?」
いつもの通りニカっと笑う彼になんだかドキドキしてしまう。
貴「う、ううん。何でもない」
リ「・・・俺・・・実はつばささんと会ったのはバレー部が初めてじゃないんですよ」
貴「え?」
リ「俺、春休みに電車乗った時なんですけど・・・。ちょうど満員電車で妊婦さんとその子供が電車に入ってきて、妊婦さんは押されてて苦しそうだし、子供はぐずり始めるし、その時につばささんが席を譲って、子供をあやしてあげて・・・。その時にいいなぁって思って」
リ「それから、ずっと気になっちゃって、音駒の制服だったから学校入学してからずっと探してたんです。そしたらバレー部につばささんいるし、嬉しくなっちゃって・・・」
バレー部に来る前から知っていたなんて思わなかった。
私は気恥ずかしくなり
貴「わ、私・・・特別なことしてないから」
リ「そんなふうに言えるつばささんがいいんですよ」
そんなリエーフを前に私は顔が赤くなりっぱなしなのだった。