第23章 恋の有効期限(及川 徹)
放課後、バレー部では恒例のバースデーパーティーの準備が進められていた。当然、毎回恒例なのでサプライズとまではいかないけど、それはそれで嬉しいし楽しいものだ。
他の部員が飾り付けをしているだろう間、私は予約していたケーキを取りに学校を出ようとしたところで岩ちゃんからのラインに気付いた。
岩”及川の親がいないから、ヤツの家ですることになった”
私は”了解”のスタンプを押し、ケーキを持って及川家に向かった。
及川家に着くとすでに多くの靴が玄関に散乱していた。もぅ、靴はちゃんと揃えなさいよね、なんて思いながら声をかけお邪魔する。
リビングにはすでにみんなが飾り付けを終え、あとは徹を部屋から呼んでくるだけになっていた。
岩「準備オッケー。つばさ、クソ川呼んで来いよ」
貴「はいは~い」
自室で待機していた徹に声をかける
貴「徹、下降りていいよ~」
及「つばさ、待ってたよ~。なんだか、わかっててもこういうの嬉しいもんだね」
貴「あはは、そうだよね。こんな事できるのも今年最後だしね」
私は自分で言った言葉に胸を詰まらせ、徹の先を歩きリビングへ向かった。
楽しいパーティーはクラッカーを鳴らし、音程がところどころ外れたバースデーソングで始まった。私は自分の気持ちを悟られないよう、バカみたいに笑って騒いだ。そして、あらかた食べ物が無くなったころ”それ”は起きた。