第22章 大好きだから・・・(日向翔陽)
貴(こんなことになるなら、片付けを諦めて一緒に帰ればよかった)
私はため息をつきランニングウェアに着替え家を出た。
昔からロードワークは好きだった。走っているとだんだん嫌なことを忘れて、いつの間にか気分がすっきりしていたから。でも今日は一向に気分が晴れない。気が付くと私の脚はいつの間にか動かなくなっていた。
孝支はバレーと彼女は比べられないって言ってた・・・。うん、理屈ではわかってる。そしてきっと翔陽がバレーをやってなかったら私はこんなに彼を好きになっていなかっただろう。
でも今日くらい私を一番にしてほしかった。いつの間にか私の頬は涙で濡れていた。
川沿いの土手、この辺りは街灯の間隔が長くて他の場所よりも薄暗い。そろそろ帰らないと危ないな・・・。
?「~~~」
・・・ん、何か叫び声が聞こえる。こ、怖い!逃げなきゃ!私は涙を拭き走り出した。
日「つばさ~~!!ごめん~~!!!」
え、翔陽?!いやだ。泣いた後の顔で会えないよ。私は全速力で走りだした。といっても翔陽は自転車だ。翔陽は私のすぐ側まで迫っていた。
日「ごめん!!体育館の時計が止まってて時間わからなくなってて!!急いでつばさの家に行ったんだけど、いなかったから・・・!」
貴「な、なんでここがわかったの?!」
日「前にイヤなことあったら、この辺走ってるって話してたじゃん!!」
貴(覚えててくれたんだ)
日「お願いだから、待ってってば!」
翔陽は自転車を降りて走り、あっという間に私の腕をつかんだ。