第19章 笑顔の先・・・(二口堅治)
茂「ごめん、つばさちゃんお待たせ。お、二口?!久しぶり」
二「も、茂庭さん?!なんでつばさと?」
茂「あ~~、小梅を見つけたの俺だったんだよ」
貴「引き取りに行ったら伊達校でバレー部だったし・・・。それでやり取りしてるうちに私が茂庭さんの事・・・その・・・」
茂「えっと、いろいろあって彼女と付き合うことになったんだ。つばさちゃんからお前に話しするって言ってたんだけど・・・」
茂庭さんは耳まで真っ赤だ。そんな茂庭さんをつばさは俺に向けることのない笑顔で見ている。
・・・そういうことか。俺は茂庭さんのいい所なんて、いやでも沢山知っている。面倒見がよくって、俺みたいに生意気な後輩のせいで気苦労かけさせた。それでも誰よりもチームの事を考えていて、皆が慕っていた人だ。
つばさが惹かれるのも・・・仕方ないのかもしれない。
二「そうですか。茂庭さん、よかったですね。彼女できて。つばさが彼女ってのも茂庭さんが苦労しそうですけどね」
貴「も~、堅治。私に対して失礼だよ」
二「ホントの事だろ」
茂「お前、相変わらずだな~~」
貴「あ、ごめん、堅治。そろそろ映画始まる時間だ」
茂「ホントだ。悪い二口、今度ゆっくり部の方に顔出すからまたな」
俺は二人の背中を見送った
・・・一年前、俺の気持ちを伝えていたら彼女の横にいたのは俺だったんだろうか。
そんな柄にもないことを思い、俺は一人彼女から貰ったグミを口に入れ、すっぱさと切なさと不甲斐なさを無理やり喉の奥へ押し込みながら空を見上げ、ため息をついた。
END
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