第18章 On your side・・・(2)(岩泉 一)
つばさsaid
私は誰にも言えなかったことをハジメちゃんに話した。
両親が離婚し、数年後に母親が再婚した事。だんだんと両親と上手くいかなくなり、高校に入るころに今の父親が持っているアパートに一人で住むようになった事を・・・。
貴「親も私の扱いに困ってたんだと思う。私、両親と話もできなくなってたから。それからかな、こんな私でも誰かに必要とされたら生きていけると思ってフラフラしちゃったんだよね」
ハジメちゃんはいつの間にか私の手を握ってくれていて、ずっと黙って聞いてくれた。
貴「でもハジメちゃんが私の事、本気で叱ってくれたり気にかけてくれて・・・。そんなハジメちゃん見てたら、私自分が拒絶されるのが怖くて逃げてただけだって思ったんだ」
岩「・・・お前ちゃんと親と話した方がいい。それで万が一うまくいかなかったら・・・、イヤ、うまくいっても・・・」
貴「?」
岩「・・・俺、今からスッゲー先走ったコト言うけど・・・俺がお前の家族になるから・・・。絶対お前の事一人にしねーよ」
ハジメちゃん耳まで真っ赤だ。
貴「ハジメちゃん、順番飛ばしすぎ・・・」
岩「う、うるせー」
貴「・・・でも、嬉しい」
私はハジメちゃんの首に手を回す。そんな私をハジメちゃんは抱き締めてくれた。
岩「・・・つばさ、好きだ」
貴「私もハジメちゃんの事、もう”彼女のフリ”できないくらい大好きだよ」
ハジメちゃんと目が合う。ゆっくりと顔が近づき鼻が触れ合うところでハジメちゃんは一瞬止まったけど・・・長くて優しいキスをしてくれた。