第18章 On your side・・・(2)(岩泉 一)
岩泉said
それから2か月ほどたった帰り道の途中、空いっぱいに雨雲が広がりあっという間に土砂降りの雨になった。
傘のなかった俺たちはしばらく軒先で雨宿りをしていが、一向に晴れる気配はない。
貴「・・クシュン」
岩「・・・これ着てろ」
貴「いいよ、ハジメちゃんが風邪ひいちゃう」
岩「いいから!」
俺はジャケットをつばさの頭からかぶせた。
岩「俺んちまで走るぞ」
貴「うん」
家に着いた時にはかなり濡れていた。こんな日にかぎって両親は旅行中だ。俺はタオルを取りに行き、玄関で待っていたつばさに渡した。
岩「俺のジャージ貸してやるから、シャワー浴びてこいよ」
貴「え、大丈夫だよ」
岩「風邪ひくだろ。心配しなくても何もしねーよ。俺、部屋に居るから終わったら声かけろ」
俺はバスタオルと着替えを用意し、つばさを脱衣所に押しやった。
・・・”彼女のフリ”なんてかなり強引な事やっちまったと思ったけど、あれからつばさはずいぶん笑うようになってくれた。
でも本当につばさに好きなやつが出来たら・・・、俺は笑ってそいつに彼女を任せられるんだろうか。最初はそのつもりだった。でも今は・・・自信がねぇ。
俺は濡れた頭をタオルでガシガシと拭いた。