第16章 Beginning (東峰 旭)
気が付くと知らない天井が見えた。手が温かい。見ると旭が手を握ったまま眠っている。大きくて暖かくて優しい手だ。そっと握り返すと旭が目をさました。
東「つばさ!大丈夫?」
貴「うん、今もう痛みはない。ここどこ?私どうなったの?」
東「病院。急性虫垂炎で、明日の朝一でオペ。腹膜炎起こす一歩手前だったべ」
貴「ってことは入院?!まずい、仕事どうしよう」
東「何言ってんだよ、こんなときに。身体が一番大事だろ!!」
・・・もっともだ。旭に怒られるなんて思わなかった。
貴「・・・心配かけてごめん。ありがと」
東「あ、その、俺もでかい声出してゴメン」
旭の顔が赤い。なんか可愛いなぁ。私はこっそり笑った。