第13章 Blue day (田中龍之介)☆
その日は突然にやってきた。帰り際”澤村に用事があるから”と言う道宮先輩と一緒に第二体育館に行った時の事だった。
”やっぱり男子は迫力が違う”なんて思い、龍に目を向けた時だった。私は久しぶりに見た龍のプレイに息をのんだ。力強いスパイク、ジャンプ、そして程よくついた筋肉。どれも私にはないものだった。
私にはなんだか龍がいきなり知らない男の人になったようで、心を鷲掴みにされたような気持になった。
今までは”厄介な幼馴染”だったのに・・・。
小学生の時スポ少で一緒だった私達は、よく河原で練習に明け暮れていた。その頃は私のほうが身長が高くて、スパイクもレシーブもブロックだって私のほうが上手かった。
でも中学に入ったとたん、龍の身長はあっという間に伸びて私を抜かしてしまった。そして私も・・・オンナノコになった。
その頃には一緒に練習することもなくなっていたんだ・・・。
私は置いていかれたような気がした。私が男だったら、縁下やノヤみたく肩を並べてバレーをやってたのかな・・・。
私の頭は”考えても仕方のないこと”で一杯になっていた。