第12章 ツキアカリノシタニサクハナ(菅原孝支)
久しぶりの休息日、駅前の繁華街。俺はスポーツ用品店や本屋、CDショップと普段ゆっくり回れない店を回っていた。
辺りも大分暗くなり、そろそろ帰ろうとバス停に足を向ける。そして俺は雑踏の中、同じクラスの桜井の姿を見つけた。
菅「おーい、桜井!」
声をかけたが、彼女には聞こえなかったようだ。彼女は表通りからそれるように、細い道へと入る。俺がその道に着いた時、彼女の姿はなかった。
代わりに”中華料理・白龍門”と書かれた看板を見つけた。俺は腹が減っていることに気づき、細道にある店の前へと足を進める。ショーケースを見ると、俺の小遣いでも食べられそうな値段だった。
菅(・・・麻婆豆腐)
俺は迷わずその店に入る。
店員「いらしゃいませ!」
意外と広い店の中は、いかにも中華料理屋らしい飾り付けが本格料理を出す雰囲気を醸し出していた。
店にはまだ客も少なく、俺は2人掛けの窓席に通された。