第11章 My Cheer Girl (山口 忠)
俺はベッド脇に移動し、つばさちゃんに声をかける。
山「つばさちゃん、薬飲もうよ」
つばさちゃんは布団を頭までかぶって出てきてくれない。彼女は声を殺しながら泣いていた。
貴「・・・ひっく・・うっぅ・・・」
山「つばさちゃん?なんで泣いてるの?!」
俺は布団をつかんだままの彼女の手を握った。
貴「・・・ごめんなさい。気付いたかもしれないけど・・・いつもここからサーブ練習見てたんだ。幻滅するよね」
貴「忠君が誠兄のところに来て練習することになったのには偶然だけど、いつも頑張ってる姿見て元気もらってたんだ。・・・私の事嫌いになったよね」
山「そんなことで嫌いにならないよ!ちょっとびっくりしただけで。サーブ練習の事だって、バレー部の皆も知ってるし、別に秘密でもなんでもないし。・・・俺の事、応援してくれてたんでしょ?」
貴「・・・うん」
彼女はようやく布団から顔を出してくれた。まだ涙目だ。
山「そんな前から応援してくれてたのがわかって、嬉しいよ。・・・とりあえず薬飲もう?」
貴「ありがとう」
彼女は薬を飲み、苦そうな顔をした。
山「あ、嶋田さんが持ってきたアイスあるよ。食べる?」
貴「うん」
俺はアイスを開け、一口分すくい、彼女に差し出した。
山「はい」
貴「だ、大丈夫だよ。一人で食べれるよ」
山「だ~め、嶋田さんの事黙ってた罰ね」
彼女は口を開けアイスを食べたてくれた。いつもハキハキしてる彼女が動揺してる。その様子が可愛くてしょうがない。