第9章 赤の他人じゃない
無性にに会いたくなった
声を聴きたくなった
肌に触れたくなった
無意識に病院に向かう俺がいた
この日は部活がオフでよかった
いや、よくないか
どうせ病院に行っても、病室には入れない
の姿はみれない
担任がたまに報告する容態しかわからない
そんなの聞いたって安心なんてできるわけがない
自分の目で確かめなければ、意味がないんだ
「第三者のお見舞いはダメということになっているんですよ」
申し訳ございません、と医師は俺に言った
「さんのことは心配しなくても大丈夫です。日に日によくなっていますよ。安心してください」
何がよくなってるんだよ
意識がないのになにが安心だよ
ふざけんな
「どうしても会えないんですか」
「ですから、私たちの病院では親族以外の面会を禁止とさせていただいているんです」
少しだけ苛立ちの色が含んであるように聞こえた
その態度が気に食わなくて、引き下がるなんてできなくて
迷惑な人間だな、俺ってやつは
「あなたが引き下がらなくても、こちらも規則を守らなければなりません。もう一度言いますが、家族や親族以外は面会禁止です」
赤の他人は面会ができないというのなら
赤の他人じゃなければいい
だったら、俺は赤の他人じゃない
「は俺の妻だ。赤の他人じゃねえ」