第8章 無力少年は立ち上がる
「ちょっと待ってろ」
担任は少し席を外し、どこかに行った
しばらくすれば、進路指導室に二人の男女が現れた
の両親だ
「一くん、久しぶりだね」
「お久しぶりです。あの、の所に居なくてもいいんですか?」
「今は面会拒絶だ」
困ったように笑う父親の目は赤かった
父親だけではない、母親の目も赤かった
2人は、俺の前の席に座る
重たい空気が流れていた
担任は、扉の横に立っていて、俺たちの様子を見ていた
沈黙を破ったのはの父親だった
「君に一番初めに知ってほしいことがある。だから先生に頼んで連れてきてもらったんだが、落ち着いて聞いてくれ」
「……はい」
声がかすれた
変な緊張感が俺の心臓を締め付けた
「は、脚を切断したほかに子宮も撤去したんだ」
「………え?」
いきなり何を言い出すんだ
子宮?
子宮って女性が子供を産むあの子宮だよな?
え……、それを撤去したってことは
「は子供を産めない体になったんだ」
「……な、んで?え?なんで撤去したんですか?」
「車に何度も打ちつけられたせいで、骨盤が粉砕骨折をしたの。その衝撃で、子宮も傷ついてそれで撤去することになったのよ」
の母親が震えていた
ハンカチで目元を抑える
今日だけで何回心臓が締め付けられただろう
息ができなくなる