第8章 無力少年は立ち上がる
すすり泣く声が響いた
誰も何も言わなかった
「さんの脚は車との間に挟まれ、救助する際やむなく切断されたとのことです」
二度目の衝撃が訪れた
なんでがこんな目に遭わなきゃいけないんだ
あいつが何したっていうんだ
生きていて嬉しい
嬉しいけど、これはあまりにも残酷すぎる
「お見舞いは血縁者だけで、先生や生徒はできない。もし、に渡したいものがあったら先生経由でさんの親御さんに渡すから。そのつもりでいてくれ」
見舞いもできないのか
退院を待つしかないってか
本当に俺は無力なんだな
SHRが終わり、俺はバックを背負い教室を出る
今から部活だが、正直やる気なんてなかった
副主将のくせに、何やってんだよって話だよな
そんな俺の肩を叩く人がいて、振り向けば担任だった
「みんなには言わなかったが、お前にだけには言っておこうと思う」
そう言って担任は「ついて来い」と背中で語り、俺はその背中を追いかけた
進路指導室に入り、椅子に腰を掛ける
担任は、深い息を吐いて、真っ直ぐに俺の目を見つめた