• テキストサイズ

Hello,Good bye【岩泉一】

第6章 名前




俺は彼女の背中に呼びかけた

「なぁ、」

くるりと振り向く

『名前で呼ぶの2回目だね』

あ、覚えていたのか

「いや、名前で呼んだ方が嬉しいのかなって思って」
『んー……そうだね。どちらかというとそうかもしれない』

手を顎にあてて考え込む
しかし、俺の顔をみつめ笑って

『でも岩泉君が私のことを呼んでくれるだけで、私は嬉しいよ。それが苗字でも名前でも』

自分と同じことを考えていたことに驚いた
「はい、終了~」と言って彼女はカバンを背負う
図書室の電気を消して、家に帰る

歩きながら、俺は彼女に聞いた

「初めてお前が俺のこと名前で呼んだ時、心臓が締め付けられるくらい嬉しかったんだ」

不思議そうには俺の顔を見る
俺は立ち止まって、彼女と向き合った

「俺も同じだよ。俺もお前に呼ばれるだけで嬉しいんだ」
『うん』
「あの時、苗字で呼ばれる以上に嬉しかった」
『私もだよ。名前ひとつでこんなに違うんだって思った』
「ずっと呼んでほしいって思った」


/ 167ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp