第1章 君と僕は許嫁
は笑顔が似合っていて
ずっと見ていたい、なんてガラにもないことを思ってしまった
そう思った自分が恥ずかしくて、紛らわそうと首を振る
それでもやっぱり、見ていたいなんて思った
『岩泉君』
昼休み
メシを食ってそのまま夢の中にダイブしようかと思っていた時、に声をかけられた
「なんだ?」
『……あの、さ』
恥ずかしそうに、何度も口を開いては閉じて、開いては閉じてを繰り返す
何が言いたいのか全然わからなくて、首をかしげていれば彼女は俺の顔を見て、そして
『やっぱりなんでもない!ごめんね!!』
自分の机に戻った
……何でもないわけないだろ
何か言いたそうにしてたじゃねえか
ほら、今だって本を開いてるけど、ちらちら俺を見てる
俺は立ち上がって、彼女のもとに行く
何をするわけでもないけど、ただ確認しときたいことがあるから
は俺が近づいてきたことにより、体を硬直させる
俺、もしかして怖がられてる?
さすがにそれはダメージがでかい
俺はゆっくり息を吸って言った
「、許嫁のことなんだけど……」
ざわっとクラス中がうるさくなる
小せえ声で言ったつもりだし、クラスも他の奴らの話声で聞こえないと思っていたが、まるまる俺の声はみんなの耳に届いたらしい
というか、ちゃっかり聞いてるお前ら、すげえよ
「許嫁ってなに、!?」
「おい、どういうことか説明しろや岩泉!!」
俺達は一瞬にして囲まれた
その中をかき分け、の手を引き、教室を飛び出す
俺の走るスピードに追い付けていないのか、何度か躓きそうになる
心の中で一応、詫びた