第3章 涙の決意
帰りのバスの中は静かだった
寝ている人もいれば、俺のようにただぼーっと外を眺めている人もいて
これで大会が終わったのだと思い知らされた
涙は不思議と出てこなかった
学校に戻りミーティングをする
大体は今日の試合の反省会で、これから練習がまた厳しくなることがわかった
「じゃあ、俺ら三年は引退ってことで……」
「え?春高に行かないんスか?」
まさかここで引退すると思っていなかった俺達
驚きの声が隠せない
そんな俺達に部長は笑って言った
「ばか。俺達は受験生なの。お勉強しねえと駄目なの」
「両立すればいいじゃないスか」
「それができないから言ってんだろ?……それに、今のお前たちにだったら託してもいいって思ったんだよ、俺達は」
その言葉に何も言えなくなる
俺達をみる先輩たちに迷いはなくて、本当に引退するんだって思った
胸が苦しくなった
「でな、もう部長と副部長決めてあって。言ってもいいよな?じゃあ、言うぞー」
いいですよ、なんて誰一人言ってもいないのに、勝手に進行する部長
ホント、この人は適当な人だ
でも、やる時はやるすげえ人
そんな部長を俺は尊敬していたし、憧れていた
俺が三年になった時、あんたらみたいな人になれるのだろうか
あんたらのような人になりたいってずっと思っていたけど
なれる自信なんてどこにもない
「部長、及川。副部長、岩泉」
名前を呼ばれ、我に戻る
「及川ならきっとこのチームをまとめられる。岩泉は、及川のサポートしてやれ。こいつほっとくとオーバーワークするから。それ止められんのはお前しかいないからさ」