第3章 涙の決意
「何してんだ、お前」
頭上から先輩の声が聞こえ、「なんでもないっス」とだけ答える
すると、松川の横槍が飛んできた
「彼女とLINEしてて照れただけですよー」
「リア充爆発しろ!!」
「まっつん、彼女じゃないよ。許嫁だよ」
「だ、そうです。先輩」
なんか、言い合うのもめんどくさくなってきた
俺は大きく息を吐いた
「羨ましかったら、彼女つくればいいじゃないスか」
「なっまいきだな、岩泉のくせに」
「くせにってなんで……うおっ!!」
「お前なんかこうしてやる!」
「ちょ、なにして……くすぐって!」
いきなり先輩に押し倒され、馬乗りされ、脇をくすぐられる
ぞわぞわした感覚が全身に広がる
くすぐったさから逃れたくて、身をよじるが、逃げれない
笑いすぎて酸素が足りなくなって、涙があふれてきた
俺のその姿を見て、先輩は満足した笑みを浮かべる
つーか、誰一人として助けねえのな
「くそっ……」
こぼれる涙を拭き、立ち上がる
まじで疲れた
なんで試合が始まる前に体力を消耗しなきゃなんねんだ
でも、こんな茶番ばかりする先輩たちだが
試合が近づくにつれ、空気が変わる
勝ちを狙う獣の瞳へと
そして、俺達の試合が始まった