第3章 涙の決意
仙台体育館に着き、俺たちはギャラリーにのぼる
シード校であるため一回戦はなく、二回戦からの試合となる
「一回戦は白戸工と常波か。どっちか勝った方と対戦だな」
「うん。でも、誰が対戦相手だろうと俺たちは負けないよ」
コートの中の選手をまっすぐに見つめる及川
でも、こいつが本当に見ているのは別のもの
何年も何年も追いかけ続けているたった一人の選手で
そして、その先にある景色
及川のことはずっと昔から見てきた
だからこいつのことは、他の誰よりも知っているつもりだ
人一倍努力することも、人一倍負けず嫌いなことも、全部知っている
「気張りすぎんなよ。まずは目の前の相手を倒さねえと意味ねえんだからよ」
「わかってるよ」
しばらくすると第一試合が終わった
勝ったのは白戸工
俺達の次の対戦相手だ
俺達が試合をするのは第四試合で、昼を挟んでから始まる
その間、軽く昼食をとる俺達
食べ過ぎて動けなくなることをさけ、みんなバナナを食ったりカロリーメイトなど、軽い食事ですましている
チョコ味のカロリーメイトを頬張りながら、何気なくスマホを開く
すると、閉じるのを忘れたとのLINEがそのまま目に飛び込んできた
【頑張れ!!】
これを打った時の彼女の顔が思い浮かぶ
きっと、笑いながら打ったんだろうな
彼女の笑顔を思い出してしまい、照れくさくなって下を向いて頭を掻く