第23章 Hello,Good by Day
『いつ旅立つの、及川君たちは』
「及川と松川は明日、花巻は明後日だってよ」
『お見送り、したかったね』
「そうだな……」
そこから俺達は言葉を失くした。
桜が舞う道をただただ歩いた。
俺達はそれぞれのやりたいことのために、それぞれの道を歩いていく。
知らない土地で勉強して、
知らない友人と昼飯食って、
知らない家へと戻る。
知らない街で、あいつらの日常は続いていく。
それは俺達も変わらないことで……。
駅に着けば、電車までの時間は十分にあった。
お昼は近くにあるコンビニ弁当。
それを持って駅のホームへと向かう。
椅子に腰かけ、二人早めの昼食。
『アパートに行ったらまずスーツを干さなきゃね』
「そーだなー」
『その後は台所とかトイレ使えるようにしてー……。なんだかめんどくさいね』
なんて言っているけど、声が弾んでるぞ。
めんどくさいと言っときながら本当は楽しみで仕方がないんだろう。
弁当を食べ終わった数分後、電車が駅へと現れる。
少しだけ混雑している電車内。
だけど、車いすを見れば乗客は間隔を開けてくれた。
「ありがとうございます」
『ありがとうございます』
その優しさに感謝をし、俺達は乗車する。
中には、間隔をあけてくれずに嫌な顔をする人もいる。
混雑している時、確かに車いすというのは邪魔でしかない。
だけど、そういう顔をされると傷つく人もいるということを知ってもらいたい。