第2章 お試し期間
『じゃあ、またね。明日は委員会で行けないけど、頑張ってる姿は見てるから』
彼女の笑顔に励まされた
と付き合って3週間が過ぎた
俺の中に何かが芽生え始めている、気がした
「好き」とも「愛してる」とも少し違う感覚
「傍に居たい」という気持ち
心臓が張り裂けるような気持ちでもないし、無意識に目で追うわけでもない
ただ、そばに居たかった
たぶんきっと、マンガや小説の中の「好き」っていう形は、共感しやすい部分を抜粋したに過ぎない気持ちで
俺の場合は、きっとこれが「好き」や「愛してる」に近い感覚なのかもしれない
………好き、になったんだのことが
自覚した瞬間、すとんと何かが落ちた
今まで抱えていたモヤモヤした何かがいなくなった
この日は月曜日で、部活はない
そのため、俺とは図書室で勉強していた
といっても勉強しているのは俺で、はいつも通り本を読んでいた
ページをめくる音に耳を傾け、宿題である数学の問題に挑む
数学はそんなに苦手科目でもないから、スラスラと解いていく
解きながら、向かいに座るに目を移す
ページをめくる細くい指
伏せられる瞼
長い睫
文字を追う瞳
黒くて艶のある髪の毛
自然と自分の手が伸びた
すると、俺の動きに気が付いた
『どうしたの、岩泉君?』
「あ、いや……」
『もしかしてわからない問題とかあったの?』
そう言って彼女は身を乗り出して、俺のノートを覗き込む