第2章 お試し期間
次の日から、は体育館に来て、ギャラリーの本当に隅の方で練習を見ていた
見えやすいところにいろよ、って言ったら「あそこでいいの」と拒否された
こいつがそれでもいいならいいけど、少しだけ腑に落ちなかった
自分の姿を見てほしい、と少しだけ欲もあったのも事実だ
「岩ちゃん岩ちゃん。ちゃん見に来てるからかっこいいところみせなきゃね」
及川の目線を追いかけ、自分の目に映る姿
目が合えば、キョロキョロと視線を泳がせ、そして手で顔を隠した
なんだあいつ、ちょっとかわいいじゃねえかよ
「かわいいって思ったでしょ」
及川に図星をつかれた
照れ隠しで、及川をはたいた
「なんで!?俺間違ったこと言ってないよね!?」
うるせえ、ちょっと黙ってろ
のことは気になったけど、それ以上に練習がハードすぎて途中からは、彼女のことは頭の隅の方に追いやられた
「あっした!!」
体育館の掃除を済ませ、制服に着替える
部室を出て、の姿を探す
は及川と話しているようだった
2人に歩み寄る
「あ、ほらお迎えが来た見たい」
『じゃあ及川君、またね』
「うん、ちゃんも気を付けてね。っていっても岩ちゃんがいるから心配いらないか」
校門をでて、いつもの道を歩く
ポケットに手を突っ込み、彼女の歩くスピードに合わせる
「及川と何話してたんだ?」
『大会頑張ってねって話だよ。全国大会に行くんでしょ?』
「ああ」
『牛若、君だっけ?倒すんだよね』
「ああ」
中学時代から越えられない壁がそこにあった
悔しい思いを何度もしてきた
及川なんて本当に悔しい思いをしてきたし、人一倍努力するバカだ
そんなバカを一番近くで見てきたのは俺だ
勝ちたいんだ、牛若に