第2章 お試し期間
とぎれとぎれになりながらも、言葉を紡いでいく
無頓着……か
考えたこともなかった
俺は周りのことばかりで自分のことに目を向けていなかったのかもしれない
『……なんか、ごめん。すごい失礼なこと言った気がする』
「そんなことねぇよ。すっきりした、気がする」
『そう?よかった!!』
満面の笑みを浮かべる
その笑顔につられて俺も笑った
『やっぱり岩泉君は笑った方がいいね』
「は?」
『いつも眉間に皺寄せてる岩泉君も素敵だけど、笑ってる岩泉君はもっと素敵!!』
恥ずかしくなるようなセリフをつらつら並べる
俺は照れくさくなって、それをごまかそうと頭を掻いて大きく息を吐いた
『じゃあ、また明日ね!!』
「あ、のよ……」
家に入ろうとする彼女の腕を掴む
なんで自分でもこんなことしたのかはわからない
彼女は驚いたように俺を見る
口から出る言葉はつまづく
「よかったら、部活……見に来いよ。が、嫌じゃなかったらの話だけど」
内心びくびくしていた
もし、断られたら恥ずかしさとショックで俺はきっと大きな傷を負うだろう
『行っても……いいの?』
返ってきた言葉に俺はうなづいた
安心と嬉しさがこみ上げた
「放課後、体育館でやってるから暇なとき、見に来ていいから」
『うん、わかった』
少しだけ、俺らの距離が縮まった