第2章 お試し期間
部活終わりにまた図書室に向かう
彼女は図書委員のため、遅くまでいても注意されることはないらしい
いつも分厚い本を開いてページをめくる姿を見るたび
よくそんなの読めるな、なんて心の中でつぶやいている
読書は嫌いじゃないけど、進んで読もうとしない
本を読む暇があったら、バリボー開いてみんなでわいわいするほうが楽
図書室の扉を開け、彼女は本をしまい、学校を出る
昨日の気恥ずかしからか、俺たちの間にはもう一人入れるくらいの間があった
今の俺達をクラスの奴らが見たら、喧嘩してると思われるだろう
横目に彼女の姿を自分の目に移す
前髪を指で整えている姿が見えた
女って結構髪型気にするけど、なんでだ?
身だしなみの一つだとは分かるけど、そんな頻繁に直さなくちゃいけないもんか?
前髪なんてしょっちゅう触って、整えて
男には一生わからないものなんだろうな
無言の時間
静かな空気
二つの足の音
不思議と苦ではなかった
むしろ居心地がよかった
無言の時間を埋めるためにしゃべり続けなくていいんだから
『じゃあまた明日ね』
「おう」
『部活、頑張って。大会応援しに行くね』
「サンキュー」
手を振る彼女に背を向け、家へと戻った