• テキストサイズ

HQ短編‼︎

第5章 【オメガバース】 月島 影山 菅原


自分があらゆる他人より感覚が、思考が優れている理由を知ったのは中学一年生の時だった。
義務教育と第二次性徴期に入る頃、人は『検査』を受ける。それは人に優劣という価値をつける行為にほかならない。
他者から 飛び出て優れるならα、平凡をゆくのならβ、そして、カースト最下のΩ……。
わたしは、予感せずとも、αだという期待を背負い、検査を受けた。結果は思った通り。両親は喜んだが、この儀式じみたものに違和感を覚えていた。

たとえΩだという結果が出たとて、わたし自身が恐ろしくシックスセンスを備えていてボードゲームの大会で優勝しなかったことはない、という事実は覆らない、という余裕があったからだ。

だがわたしは、Ωの人間が、αの人間と動物めいた因果を持つことも、何も知らなかったのだ。
αはΩとつがう。そのつがうという関係性に、私たちは縛られている。抗えない欲求の苦しみを、その時はまだ。

私はαだ。だからこそ、いつか誰かとつがわねばならない。それまで、Ωのはなつ誘惑に苦しめられ続ける。

フェロモンを出す人間は北一にはいなかった。それは、高校になってからのことだ。

谷地仁花、彼女は、Ωである。
/ 51ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp