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泥沼恋愛

第1章 雪の上の王子様


今、なぜか学校の人気者がアタシにまたがっている。
すると、その人気者が唇を動かした。
「ご...ごめん、すぐどくね。」
人気者はたどたどしくそこをどいた。
なんだこれ、遡ること30分前。

「ごめ、アタシ頭痛いから保健室行くね。」
アタシは学級委員にそう言って席をたった。
「先生にそう伝えておくね。」
背中で委員長がそう言った。
ごめんね委員長、本当は保健室なんて行かないの。
アタシが向かった先は、学校の裏。
ここでたまに授業をサボる、まだ誰にもばれてない。
もう冬だったから頬に触れた風が冷たく、軽く身震いした。
「うぅー、さぶ。」
寒いなら場所変えろよ、自分でもそう思ったが他の場所だと先生や生徒にバレる可能性が高いのだ。
「はぁー、面倒臭いなぁ...。3時限目は参加すっかー。」
そう独り言を呟いたら、微かに音が聞こえた。
「!!?」
(誰か来た!どうしよう、隠れる場所なんてない!!)
サク、サク、サク...雪の上を歩く音がどんどん近づいて来る。
(ヤバい、いっそのこと来た瞬間グワァーッと逃げるか?)
そんなことを考えてるうちに一歩、また一歩と足音は迫って来る。
そして、何かが頭を出した瞬間、目をつむってアタシは走り出した。
「うわぁ!!」
(聞き覚えのある声だ、誰?)
うっすらと目を開けてみる。
瞬間、誰かとぶつかって真後ろに倒れる。
「っ.....」
声を出す暇もなく、誰かと一緒に倒れた。
「いっててて...誰?」
背中に痛みを感じたがそんなことは今どうでもいい、場合によっては面倒臭いことになる。
「!...あんた、隣のクラスの...杉山だっけか。」
そいつは、目を見開いて言った。
「誰それ!!杉浦だよっ、杉浦亮太!えっと、鈴本さんだよね?」
(あー、んな名前だったっけ、今学年でイケメンだって騒がれてたな。)
「....あのさ、噂のイケメン君、背中...雪で冷たいんだけど、凍え死にそうなんだけど。」
そのイケメンは、はっとした様子で
「ご...ごめん、すぐどくね。」
で、今の状況に戻る。
「ごめん、痛かったよね。怪我してない?」
おどおどしてそいつは、聞いてきた。
(随分とまあ、真っ直ぐに見つめて来るんだな。)
「大丈夫、アタシもう戻るわ。」
怪我した右手を隠して、
「またね、噂のイケメン君。」
左手を振って、アタシはその場を去って行った。






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