希望を賭けた戦い The hopefight--.
第13章 個人情報流出
「千乃は知ってるよね?身を持って体験したから………僕にこれがある限り、どこでどう暴れてもおかしくない」
千乃は絶句した。
思わず眼帯の上に手をおく。
………まさか。
「僕は見事に、その頃の記憶がないんだ」
…あぁ、やはりか。
「7歳って言ったら、まだ私たちは出会ってないからわかんないが」
「知らなくていいと思うよ」
すかさず彼方が千乃の話を遮った。
「ぶっちゃけ、この事は千乃に知られたくなかったからね」
ニッ、と八重歯を見せて笑う。
その笑顔は………悲しくも見えた。
それとは逆に、千乃は少々怒りを覚えた。
「自分だけで解決出来ない癖に何言ってんだよ……」
「だって、結果的に怪我させちゃうんだよ?知らないほうがいいじゃん」
「私は彼方の事が心配でっ………隠されるほうがよっぽど辛い…」
「……ごめん」
いっぱいいっぱいになり、千乃は部屋を出ていく。
彼方は呆然と…立ち尽くす。
「…ごめんね、母さん。こんな僕で」
謝罪の対象は、いつの間にか自分の母となっていた。