希望を賭けた戦い The hopefight--.
第13章 個人情報流出
ジジ……ジー……
「?」
何か機械音が聞こえたかと思うと、上からコピーされた白い紙が降ってきた。
「……なるほど」
ニッ、と口角を上げたあと、その者は紙をびりびりに破り捨てた。
夕顔団では
「おい、彼方」
「ん、なにー?」
呼ばれ、無邪気な笑顔で彼方は振り返る。
一方早月は、信じられないと言った様子の顔で、手持ちの紙を見る。
「7歳の頃にたくさんの人を大量虐殺したって……個人情報がまかれてるんだが?」
「え………なに、それ」
言っても半信半疑だったため、早月は持っていた紙を見せる。
「なん………で」
室内に冷たい空気が張り詰める。
彼方が目を伏せた。
「もし、本当ならさ………」
「………」
「俺、また不安生活なのか。こんな縛られ生活、ごめんだって当初思ってたけどさ、案外いい奴ばっかで……安心できると、思ったのに」
声のトーンが徐々に下がる。
そこにちょうど、千乃が帰ってきた。
「ただい…」
「お前のせいで、また不安っていう振り出しに戻っちまうのか?………なぁ、なんとか言えよ!!!」
早月が彼方の両肩を掴む。
何があったかさっぱりわからないが、千乃は仲介役へ回った。
「とりあえず落ち着いてください。何かあったなら聞きますから」
「せ、千乃……」
「何かあった?あぁ、大有りだ。詳しくはその紙を見ればいいさ………こんなのまじでごめんだ」
ぐちゃぐちゃになった白い紙を指さし、部屋を出ようとする。玄関のすぐそばにあったオブジェが目に入り、早月は構わずそれを蹴った。
早月は、激昂はしなかったものの、心の奥底ではかなり煮え返っているようだ。
なんせ、物に当たるくらいなのだから。
千乃は白い紙を取ると、細かい文章体を読み始める。
明らかに、眉間にシワが寄るのを彼方は見た。
「………どういうこと?」
「…僕にもわからない、ただ」
自ら、服の裾を捲くりあげ、腹部を注目させた。
痛々しい、火傷の痕……それは龍の紋章だと捕らえることが出来る。