希望を賭けた戦い The hopefight--.
第12章 楽は幻の如く
「ただいま帰ったぞー!風呂きもちかったー」
「あ、捺輝!お前なんで逃げるんだよーっ」
「いや、恥ずかしいだろ…」
捺輝は下を向き、頬をほんのり赤くする。
その純情さに団員たちも口角があがる。
「まっ、今回は女の子がいたから入れなかったんだよなっ!男子となら入れるよな!」
「なんで一緒に入りたがるんだお前は」
成瑚がきょとんとする。
「そりゃ仲深めるためだろ!」
「いや絶対はいらねえから」
夜桜団員たちの笑い声が、ある場所まで伝わっていた……。
「主人様……バジール様の管理下、というのを忘れているな」
大きな画面に向かって、指を右にスライドさせる。ちょうど侵入して来た蝶が横切った。
「よく言えば寮、悪く言えば鑑別所………まだ自分の立場がわかってねえか…全く、とんだ餓鬼だ」
指に反応して開かれたものは、団員のものだと思われる情報。
細かな内容が記されている。気持ち悪いほど、文字が参列しており、本人までもが知らなさそうな情報もありそうだ。
男が妖しく、ニヤァと笑った。
「こいつがどう動いてくれるか楽しみだな」
背中に憎しみと哀しみを背負いながら。
金色の蝶は羽撃たく。