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希望を賭けた戦い The hopefight--.

第12章 楽は幻の如く



「団長がまだ来てないけど、副団長の榊野莱音が少し話をするぞ」

一方夜桜団では、早くも戦法を編み出そうとしていた。

ちなみに、団長である春松と、成瑚はまだ来ていない。

「ん?あともう一人足りない気がするが」
「すまない、浴場に行っていた」

桶とタオルを持ちながら入口前で、靴を脱ぐ。

「あ、捺輝かぁ。風呂はどうだった?」
「まだ入っていない。ちょうど人がいて入れなかった」
「捺輝はシャイだな。誰か一緒に入ってやれよ!」


冗談っぽく莱音が言うと、早くもリクエストが。


「俺でよければ一緒に入るぞ!ただし、妹つきでなっぶぁぎょ」
「兄上は黙れ」

昔の侍のような髪型をした男……御江文がわざとらしくいい、突如咳込む。
その様子を……抹茶色の髪の色をした少女が好奇心旺盛そうに問う。


「御江文さんのその髪型も、副団長のマネですかぁ?」
「お、よく気付いたなあ紗緒里。そうだ!莱音が好きすぎて髪の毛を伸ばし、結んでみたら昔の侍みたいな髪型になってしまったんだ!ハッハッハッ」

大笑いが夜桜団休憩室の場を充満する。
皆もその様子に苦笑い気味だったが、唯一冷静な奴がいた。

「随分アメリカンな方だな……」
「スズメもそう思うか」
「対象的にスズメ君はいつも冷静で動じないよね!」

ニコニコと先程の少女……紗緒里が言う。

「そ、そんな事はない………ボクだって人間だからな」
「そうですよ!しかも、スズメ君は精神病っていうの抱えてるから、無理に期待させないであげてくださいね!」
「うわ!?奏美殿……」

突如現れたのは、桜色の髪をした少女、奏美である。
彼女は、医療についてはハイレベルな頭脳を持ち、団員からの信用も厚い。
奏美は不意に白衣を翻す。

「鶉さんもそんなびくびくしないでください。私の首からかけているこの毒瓶が怖いんですか?」
「ひ、ひいいぃぃ…ごもっともですぅぅ…」
「こいつはいつもこうだ。後、佐武のオドオドしてるのが何より邪魔でキモい」
「楓架さんひどくない?!」
「気安く名前で呼ぶな」


楓架が横目で鶉を睨む。
「じゃあなんて呼べばいいのさぁ…」と鶉が小刻みに震えながら言った。

「仕方ない、鶉のこのヘタレ具合は直せないと思うな。俺はもう諦めてる」
「鶉殿の扱いがぞんざいだな……」
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