希望を賭けた戦い The hopefight--.
第7章 袴姿の舞姫
例の人の自己紹介が回って来た。
「………」
「あ、あの……」
雀羅が声をかけるが、反応はなし。
無視か?
暫くすると、メモ帳を取り出す。
そしてペンで何かを書く。
『我は帝一舞。訳あって、声は出せない。ひとつひとつ苦労はかけると思うが、よろしく』
「あ、声が出せないんでしたのね……」
雀羅は、先程の事を納得して、胸を撫で下ろした。
「それって、なんか理由あったりすんの?」
眼帯をつけた少女……千乃が問い掛ける。
すると、一舞は答えたくないのか、首を横に振った。
「正体不明の舞姫、か。まぁ僕には千乃がいるからぁ~」
「やめて汚らわしい」
「ひどくない?」
「…なんでこんなやかましいの……。ところで海月」
「んなーに……毛布引っ張るな」
緋鯊が海月が被っている毛布を引っ張る。
「さっきどこ行ってたの?……あの人と」
と、ちょうど横にいた楓を指差す。
「んぇ……あの貼紙みればわかる……毛布…」
引っ張られた毛布を取り返し、海月は再び包まった。
本当にこんなのが団長でいいのかと副団含め、団員は思った。