第9章 狂犬?注意-双子座一族の薙刀士-
(最近、式神が増えた)
ナギが式神になった頃に比べて、○○の元には多くの式神が集っている。
その分、色々大変だったりするのかもしれないとか、だから前のように構ってもらえなくなってもしょうがないんだ、とか、自分なりに納得しようとして、○○を煩わせないように考えようとした。
何より、彼女の為にと、そう思うようにもしてきた。
けれど……。
「もう…俺、駄目だ」
○○は常々、他の式神とも仲良くなるように、と言っていた。
だから…と、実際、そうしてみたりもした。
だけど……。
「だけど、駄目なんだ」
確かに以前よりは、他の式神達と話すこともできるようになった…というより、無理矢理してみたりもしたし、そのせいか、向こう(他の式神)から声を掛けられることも増えてきた…けれど。
ナギには本当は、そんなことはどうでも良かった。
○○の傍にいられない淋しさを、他の式神と話すことで紛らわそうとしてみても、逆に虚しく感じてしまう。
なのに…○○は、自分を見て逃げるように去って行った。
つい先刻の光景が、ナギの頭から離れない。
「陰陽師…陰陽師……っ。……○○!」
好きなのに、大好きなのに……。
最初は、傍にいるだけで嬉しくて、懐いていた。
人見知りのはずなのに、○○のことはすぐに大好きになった。
双子のキナ以外に、こんな風に馴染めるなんて。
こんな風に心を開けるなんて、自分でも驚いた。