第7章 大人な狡猾-ひよこ豆-
しどけなく肌蹴られる衣が、少女には恥ずかしくて堪らない。
触れられるのが…見られているのが、恥ずかしくて、おかしくなりそうで。
でも…それでも……。
(いやじゃ…ない……)
だから、最初にあんな風に触れられても『嫌だ』とは言わなかったし、思うこともなかった。
その理由は、きっと。
(せんせい…だから……)
「せん…せ…ぃ……」
掠れた少女の声に、男の喉がこくり、と鳴る。
ふぅわり、と艶を放つ笑みに目を細めた男は、少女を抱き上げて寝間へと攫い、褥の上に優しく組み敷いていく。
拒む気配のない少女の裾を割り、肌に触れる。
ぴく、と震える少女の幼さに、男は胸が騒ぐと同時に、罪悪感にも見舞われていた。
だが……。
「もう…このままではおれぬのだ」
愛しすぎて、このままではもはや過ごせない。
無邪気に、そして無防備に『先生』と慕ってくる少女を、何でもない振りで受け止める限界など、とうに超えていた。
「夜明けまで寝ずに過ごしても、この身に大事はないと、確かめるが良い」
否…確かめたいのは…少女に触れたいのは、むしろ男自身……。
それを自覚した上で、男はわざとそんな言葉を紡ぎ、ほどなく、二つの影が折り重なった。
少女の白い肌に、男の褐色の肌が混ざり合うように絡み合う。
「ひゃ…っ、ぁっ!?」
自らも触れたことのない場所に、男の指が触れるのを感じて少女は跳ね上がった。
それだけで息が上がって、熱くて……。
「大丈夫か?」
気遣う男の声…いつの間にか涙でぼやけた視界の向こうには、心配そうな面が見えて、少女はこくこくと頷きながら、しかしあまりの恥ずかしさに両手で顔を隠そうとして…阻まれた。