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陰陽の道≒式神との道

第10章 標的捕捉-諜報部隊・隊長-


迷ったり、悩んだりしている間に、陰陽師の自分は、いつその人と会えなくなるかも分からない。
例え死ぬことはなくとも、任務によっては、二度と会えなくなる可能性だってあるのだ。

だから…と、彼女は、当時まだ理解の追いつかない○○に言った。

『もちろん安売りしろなんて言ってるんじゃないよ?あくまで『この男だ』って思う相手に会えたら、って話だからね』

あの時…彼女が話してくれた時にはちゃんとは理解できなかったが、今の○○には、分かる気がした。

何故なら自分は多分、見つけたのだ。
『この人なら』…と思える相手を……。

だから逃げなかった。
驚いて、怖くても、彼に全部委ねて……。

でも、そんなことは、彼は知らない。
接吻して抱き上げても抵抗しなかった自分を、だから、彼は…もしかしたら……。

「軽い女…とか、思われちゃった、かな……」

はしたないとか、そんな風に思われてしまったかもしれない。
○○が首を竦めながら、思わず、ぽつり、と呟いた、途端、

「誰が軽いって?」
「え…ぇっ!?」

更に密着するように抱き寄せられたと思うや、くる、と視界が反転して、目の前には天井…でなく、彼の顔が目の前に迫る。

「た、たいちょ…さ…っ、んんっ!?」

再び押し倒され、密着した互いの体温が上がっていくのが分かる。
唇を塞がれて息を乱す○○の頬を撫でながら、男は困ったように笑っていた。

「名前で呼べって言っただろ」
「あ…だ、だって、癖が……」
「じゃ、早く新しい癖をつけろよ」
「そんな、急に言われても」

そんな無茶な、と真っ赤になりながらも言い返そうとする○○の唇を、再び掠めるように奪いながら、男はそれから、と、表情を改めた。

「お前が軽い女だなんて、思うわけないだろ」

変なこと考えんなよ、と、こつ、と額を寄せられたら、目の前では彼の赤い双眸が柔らかに揺れていて、○○は恥ずかしすぎて目を閉じた。

それを狙い澄ましたように濃密な接吻をされたりしたらもう、○○はそのまま動けなくなってしまう。

ちゅるっ…ちゅ。

満足するまで○○の唇と口腔とを味わった男は、ぺろり、と自らの唇を舐めながら、すぐに○○のうなじに顔を埋め、その手は蠢くように○○の肌を這っていく。
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