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陰陽の道≒式神との道

第10章 標的捕捉-諜報部隊・隊長-


○○がふと目を覚ますと、目の前には鍛えられた露わな胸板があって、思わず跳ね起きそうになる…のを、しかし、寸でのところで堪える。

が、先刻までのことを思い出すと、恥ずかしくて身体中が熱くなるのは止められない。

しかも上掛けの下で、これほど至近にいる自分達は、何も身に着けていなかったりするから、○○の羞恥心は正しく天井知らずの勢いだ。

それでも、じたじたと動き出してしまいそうな自分を必死に堪えるのは、よく眠っている彼を起こさない為……。

このまま起こさないように、眠りの邪魔をしないように、そっと離れようと思った…のだが。

(……ぇっ!?)

今頃気づいたが、彼の両腕は○○をがっちり抱き締めていて、身動きするだけで起こしてしまいそうな密着具合だ。

(な、ななな、なんで…こ、こんな……っ)

雨の中、この部屋に抱き上げられるようにされて入って…それから……。

(私……)

その手のことにはひどく初心で奥手だった○○は、彼の手によって、初めての体験をした。

接吻も何もかもが初めての少女は、濃密な夜をはっきり記憶していない。

でも、苦しくも、辛くもなかったことは、覚えている。
初めてゆえの怖さは、最初こそ、どうしても拭えはしなかったけれど。

それさえも…彼が綺麗に溶かしてしまったことは、ぼんやりと覚えている。

たくさん触れられて、たくさんの場所に接吻された。
とても優しくされたことは、覚えている。

そ…っと、恥ずかしいけれど、目前に迫る面に目を向ければ、そこには未だ眠りの中にいる彼がいる。

(何だか、すごく…安らいで見える)

○○が彼の寝顔を見るのはもちろん初めてだったが、何故か、そう思えた。

いつも隙がなくて、和んでいるようにしていても、何処かで周囲を常に警戒していて……。

そんな彼が、今はとても安心しているように見えるのは、気のせいだろうか。

それとも、眠っているから、当然…だろうか。
でも、今この時。

(少しでも安らいでくれてたら、良いな……)
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