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陰陽の道≒式神との道

第10章 標的捕捉-諜報部隊・隊長-


吐息ごと少女の耳朶に吹き込めば、○○の身体が、ふるり、と震えるのが分かる。

面を隠そうと俯いたうなじが朱を孕む様が、かえって男を煽るなんて、この少女は知らないだろう。

「後で、ちゃんと見せてもらうからな」

羞恥を孕んでいるだろう面も…何もかも……。
暗に含むように、男は○○の耳朶に再び吹き込んでいく。



最初の出会いは完全なる偶然。
その後の邂逅は時に偶然、時に…偶然感じた彼女の気配を察して声を掛けて。

姿を見て…声を聞いて。
喋って笑って、それだけで十分と思ったものは、まるで十分ではなかった。

見るだけじゃ足りない。
声を聞いても足りない。
敢えて子ども扱いして、からかうように僅かに触れた程度では、もう足りない。

時に胸に淀む暗澹も虚無も、○○がいれば……。
その身に…触れられたら……。

男は再び自らの名を○○の耳朶に吹き込み、やがて…二人きりで雨を凌ぐ場所へと続く扉を潜る。

接吻一つで息が止まりかける○○に、これ以上のことをしたらどうなってしまうのか。
そうも思うが…もう……。

「…っ、ぁ……」
「悪い。もう…足りないんだ」

○○のうなじに唇を落として、男は熱い息を吐き出した。

「お前が欲しい」
「……っ!?」
「呆けた顔をするなよ。…お前に惚れたって言ってる」
「~~~~~っ!!」

声にできない答えの代わりに、○○は自分に覆いかぶさる男の背に、おずおずと腕を伸ばす。

雨に打たれた二人の冷たい肌が、溶け合うように熱を孕むのは、それからすぐのこと…だった……。
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