第16章 るろうに剣心【東京編】 最終話
空が、明るくなり始めた頃
半分眠りかけていた私は、二つの足音で目を覚ます
見慣れた二つの影がこちらに向かってくるのがわかる
私は立ち上がり、彼らを出迎えた
私が起きているとは思っていなかった二人は驚いた顔をしていたが、
そのあと笑って私に近づいてきた
『おかえりなさい。怪我はしていませんか?』
「拙者も左之も怪我一つしていないでござるよ」
それはよかったです、と私は言い左之助さんを見る
彼にまとわりついていた違和感はなくなっていた
そしていつもの穏やかな空気が広がっていて、私は歯を見せて笑った
「何笑ってんだ」
『ちょっとうれしくなって』
「は?」
『こっちの話です。って、また髪の毛……!やめてくださいっていつも言っているじゃないですか』
髪の毛をぐしゃぐしゃにされ、手櫛で整える
やめてとは言ったけど、でも正直にいうと頭を撫でられるのは嫌いじゃない
緋村さんとは違って左之助さんが撫でると安心する
緋村さんだと、心臓が死ぬ
恥ずかしくて
「それより、オメー寝てねェなら寝たらどうなんでェ。目の隈がすげえ」
「おろ、本当でござるな。横になった方がいいでござるよ」
2人の言葉に甘え、私は自室に戻り横になる
『あ…左之助さんに好きな人のこと聞くの忘れた。後で聞こう』
徹夜した疲れと昨晩の大さわぎが手伝ってか、私はすぐに深い眠りへと堕ちた