第16章 るろうに剣心【東京編】 最終話
嘘をついた
優しい女の子に嘘をついた
心臓のど真ん中が内側から締め付けられた
これは【罪悪感】だ
罪悪感で私の心臓は締め付けられている
苦しい
でも、本当のことを言ったら彼女は傷つく
それは嫌だ
それだけは絶対に嫌なんだ
「ねぇ、真愛。私ね剣心が好きなの」
『うん、知ってる』
「え、本当!?」
『だって薫さんわかりやすいんだもん』
「……いや、今のあんたに言われたくない」
『え、どういう意味?』
その後、私と薫さんはずっと恋バナをしていた
主に薫さんなんだけど、好きなタイプとか、好きな仕草とかを話して盛り上がった
私は、部屋に戻り横になった
だけど、眠たくはなくて頭の中は緋村さんと薫さんのことばかり
緋村さんが好きだと言った薫さんは、耳まで真っ赤に染め上げてとてもかわいかった
あの姿を緋村さんがもし見たらやっぱりかわいいって思うのかな
モヤモヤと黒い渦巻が体中に貼り巡る
ぐるぐるぐるぐる
考えれば考えるほど、それは濃さと速度を増していく
「頑張って、応援してる」なんて嘘の笑顔を張り付け嘘の言葉を吐いた自分の嫌気がさした
汚い人間はいつまでたっても汚いままだ
一度汚れてしまった人間は、どんなに頑張ってもきれいな人間にはなれない
一生汚い人間のまま生きていくしかない
私は汚い人間だから
薫さんは綺麗な人間だから
だから私は、薫さんには勝てない
夢を見た
緋村さんが私を見て笑って、私も彼をみて笑っていた
これが幸せなんだって思った
でも、薫さんは泣いていた
私たちの姿を見て、一粒の涙をこぼしていた
そこで目が覚めた
……胸が苦しい
もし、勉強みたいに恋愛にも教科書があるなら
早く正しい答えを教えてほしい
間違った答えを導いてしまわないように