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るろうに剣心【東京編】

第16章 るろうに剣心【東京編】 最終話




「え、好きな人いるの?誰よ!もしかして左之助!?」
「それありえるな!だから聞いてきたのか!!」
『違っ……!!私が好きな人は――――!!』
「「好きな人は?」」

ぐっと言葉を飲み込む
勢いで言いそうになった
危ない危ない
ちらりと、緋村さんを見れば私をじっと見つめていた
顔に熱がこもる

『い、いない……です』
「なぁんだ、いねェのかよ。つまんないの」

そう言って弥彦君は再びご飯を食べる

つまらなくていいよ
私のこの想いは誰にも打ち明けずに、墓場まで持って行くから
死んだ人が墓場まで持っていくって言葉使うと、なんか不思議な気持ちになるね

「あとでちゃんと教えてね」

夕飯を食べ終わった後、
薫さんは楽しそうにそう言ってきた
私は何も言うことができず、頷いてしまった

お風呂に入り、薫さんの部屋に行く
そこで話をするそうだ
あぁ、胃が痛くなってきたような気がする

「あ、来たわね。はい、ここに座って!!」

薫さんの真正面に正座で座る
ものすごい見つめられてる
そんなに見つめないで
思わず、目線を逸らしてしまった

「ねぇ、本当は好きな人いるんでしょ?」

彼女の顔を見れば、キラキラと光る瞳がそこにあって
胸にずしりと重い何かがのしかかった
恋バナは嫌いだ
何がそんなに楽しいのって思うし
何より、自分の心の大事な柔らかい部分を晒されたような気持ちになる
それってすごい怖いことで、他人に知ってほしくないことで
だから頑丈な扉で固定している
でも、今それを解き放てって言われているみたいだ

『……本当にいないよ。ただ、さっきは驚いたっていうか…そういう経験はないから、恥ずかしかったっていうか……』

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