第14章 腕前と衝突
現れた4人の男は雷十太の同士らしく
緋村さんを真古流に引き入れるためにここにきたようだ
しかし、引き入れるためとはいえ、槍でいきなり道場を壊す人がいるだろうか
もしかしたら、脅迫をして無理やり引き入れようとしているのかもしれない
その考えはどうやらビンゴだったようだ
緋村さんの意志はいつだって「不殺」を信条としている
男たちの誘いを断った緋村さんに、剣が振り落された
「ならば死、あるのみ!!」
邪魔者は排除する、という何ともシンプルな考え方
雷十太にとって彼はものすごく邪魔な存在なのだろう
闘う緋村さんと男4人
だけどそれはいとも簡単に決着がついた
あっという間に3人を倒してしまった緋村さんに
恐れおののいた最後の一人は逃げた
が、それを許さなかったのは佐之助さんだった
「同士を打ち捨てて一人で逃げようたぁあんまり感心できねーな」
「放してやるでござるよ、左之。戦意を亡くした者を討つ気はござらん。
帰って雷十太に伝えろ。小細工や同士を使わず、来るなら一人で攻めて来い。不本意の戦争をこれ以上拙者にさせるなとな……」
何度も頷く男
佐之助さんは舌打ちをして、その男を逃がした
一気に平和というか、和やかな時間が戻ってきた
由太郎君は少しだけ驚いたような顔をしている
緋村さんが強いってわかってびっくりしたのかもしれない
『由太郎君、大丈夫?』
「お、おう……」
『おなか減ったでしょ?晩御飯食べて行かない?』
「え?」
『みんなで食べた方がおいしいよ』
にこりと笑えば、由太郎君はぎこちなく頷いた
夕食ができるまで、由太郎君と弥彦君は稽古をして
薫さんと佐之助さんはそれを見て
私と緋村さんは夕食の準備に取り組んだ