第13章 雷十太と剣術
そして、試合が始まった
雷十太は、竹刀を振り下ろす
それをよける緋村さん
また打ち下ろす
またよける
………いつもの緋村さんと違う
いつもだったら打ち下ろしの隙を見逃すはずないのに
もしかしたら引き分けに持ち込もうとしてる?
雷十太もそれに気が付いたらしい
彼は、竹刀を頭上まで振り上げ、そしてそれを振り下ろした
それをよける緋村さん
その瞬間、緋村さんの竹刀が真っ二つに切れた
まるで真剣以上の鋭い刃物で切断したような感じで、床も同じような現象が起きていた
その日は、前川先生を医者に連れて行った
入院をすることになり、しばらく道場を閉じる事になってしまった
それを数日後に知った佐之助さんは言った
“ちゃんとした勝負で負けたんなら仕方ないんじゃないか”って
それはそうかもしれないけど、でもなんかやるせない気持ち
「一流一場を担うんなら相手が強すぎたなんていっても言い訳にしかならない。だろ?剣心」
「確かにそうでござるが」
何か言いかける緋村さん
私は“どうしたんですか”って聞こうとしたが
神谷道場に来客が現れた
来客は、緋村さんに用事があったらしく
彼に一通の手紙を渡した
そこには“招待状”と書かれていて、差出人は雷十太からだった
その来客、もとい執事だという男に着いて行けば立派なお屋敷にたどり着いた
あのむさくるしい男からは想像できない家だ
しかし、この家は雷十太のものではないく
あの、男の子由太郎君の家だと知る
由太郎君の父、塚山さんは緋村さんだけを雷十太の所へ案内する
まぁ、私たちはただのおまけみたいなものだからね
私たちはというと、
由太郎君を木に縛り付けていた
やったのは佐之助さんだ
私以外の三人は、緋村さんの後追う
由太郎君は、ばたばたと暴れる
私は、そんな彼を見つめる