第8章 自傷の傷と心の傷
『相楽さんが余計なことを言わなければ……』
「おいおい、初めに心にもねーこと言ったのはこいつだろ」
「あら、片時も離れたくないってのは本当よ。だって、この人滅法強いくせして、随分人が好いから。そばに居れば、観柳の私兵に襲われても、必ず守ってくれそう」
明治の女の人ってみんな気が強い人ばかりなのかな
薫さんといい、この人といい
「緋村剣心…だっけ。あなた護衛にうってつけよ」
話が分からない
武田観柳って誰?
どうしてこの人がアヘンなんて物を持っているの?
そもそもどうして狙われているの?
「剣心、真愛にも事情は話そうぜ。一応巻き込まれた身だからよ」
「そう、でござるな」
「まあ、お前の気持ちもわからなくねーけどよ。今回ばかりは仕方ねェだろ」
全部聞こえてます
内緒話をするなら、もう少し小さな声でお願いします
「あのな、#ANME1#」
「いたいた、左之さん!」
何かを言いかけた相楽さんの所に、彼の友達が走ってきた
そして“一緒に来てほしい”と頭を下げた
私たち4人は、その人についていく
たどり着いた場所では、二人の男が無残な姿で亡くなっていた
この、男たち……
「こいつら、真愛が倒した奴らじゃねーか」
相楽さんは少し驚いたように言った
「役に立たない者は容赦なく切り捨てる。観柳にいつものやり方よ」
役に立たないから、殺すの?
その観柳っていう人は、人の命をなんだと思っているの?
私は人の死を、しかも“殺人”という形でみた
私は、思わず目を背けた
「大丈夫でござるか?」
『だ、大丈夫です……。少しびっくりしただけで』
そうは言うものの、少し声が震えた
それが伝わったのだろうか
緋村さんが私の頭に手を乗せた