第3章 おでかけ
「次は着物を切り刻んで辱める。ま、着物じゃなくて人体になるかもしれんがな。もう一度言おう。“抜刀したらどうだ”?」
警官の声が耳には入ってきた
しかし、頭には入ってこない
でも、耳に入ろうが頭に入ろうがそんなことはどうでもいい
せっかく買ってもらった簪
大事にしようって思ってったのに
リボンも髪ゴムも薫さんと緋村さんにプレゼントしようって思ってたのに
なんで、こんなことになってんの
私、何かした?
「真愛殿にも町の人にも切っ先一寸たりとも触れるな!相手なら拙者が致す。……って真愛殿!?」
気が付いたら体が動いていた
真剣で私を抑え込む警官二人のみぞおちに肘を喰らわす
その場に倒れこみそうになる二人にとどめの一発として急所を蹴り上げる
完全に地面に伸びきる二人
「何をしている貴様!!」
数人の警官が私に向かってくるが、それを避け
蹴りやストレートをぶち込む
「真愛殿、落ち着くでござるよ」
緋村さんに羽交い絞めにされ、やっと落ち着くことができた
「落ち着いたでござるか」
『あ、ご、ごめんなさい……』
「大丈夫でござるよ」
ポン、と頭に手を置き、笑ってくれた
そして、彼は警官をあっという間に倒した
それは目にもとまらぬ速さで
人々に囲まれる緋村さん
私は地面で粉々になってしまったそれらを拾う
「真愛!!大丈夫だった?」
薫さんの声がして、びくりと肩を揺らす
息を切らしている薫さん
やっぱり言ったほうがいいよね