第3章 おでかけ
そう思って、もと来た場所を戻る
その時、
「馬車上から失礼。少々道を尋ねたいのだが君。警察署へ行くにはこの道でよろしいかね」
……え、わからない
わからないが、うなづいといた
「ありがとう」
間違っていたらごめんなさい
フゥ、と息を吐いた
私は簪が売っていた店に行き、品を見ていた
簪だけでなく、リボンや髪ゴムなどが売っていて
私は紺色のリボンと髪ゴムを買った
お金を支払っているときにガヤガヤと騒がしい声が遠くのほうから聞こえてきた
「廃刀令の違反者だってよ」
「このご時世に廃刀令とはね」
もしかして緋村さんかな
よし、行こう
迷子にだけはなりたくないし
もしかしたら薫さんもいるかもしれないし
私は人ごみをかき分ける
見えたのは緋村さんの姿だけ
薫さんはまだ買い物をしている最中かな
『緋村さん、薫さ――――――……』
薫さんみませんでしたか
そう言いたかったのだが言えなかった
気づいたら、数本の髪と共に簪も粉々になり地面に落ちた
簪だけでない
手に持っていたリボンや髪ゴムも切り刻まれていた
警官が真剣でそれらを斬ったのだ
そのせいか、私の手首から血が流れ落ちた