第2章 兄と妹とその周辺
「強制は強制だ。ちなみに、俺の家では無理だな。兄弟を説得することができない。黄瀬はどうだ?」
「あー…、仕事が入ってなければ参加するのは大丈夫っスけど、俺の家では無理っスね。中学の頃いろいろあって、友達呼ぶの禁止になりました」
「いろいろって…お前何したんだよ」
呆れ顔で尋ねると、「聞かない方がいいっスよ」と苦笑してはぐらかされた。
「じゃあ黄瀬参加決定な。早川は?」
「大丈夫っス!!」
強制と言っていたわりには、なんだかんだと大丈夫か聞いている森山。
「小堀は?」
頼む小堀。
この場を代わりに治めてくれ…!!
今まで黙って聞いていた、たった一人の頼みの綱が口を開く。
「まぁ、たまにはそういうのもいいかもな」
「は!?小堀!?」
「それは参加でいいか?」
「ああ、かまわないぞ」
「よし、あとは笠松だけだな」
おい、小堀!!
お前一生恨むぞ。
空気読めよ!!
善人すぎなんだよ!!
たった一人の頼みの綱も、呆気なく参加となってしまった。
「いや、森山先輩。俺もまだ参加できるかわかんないんスけど」
黄瀬が遠慮がちに言う。
「そこはなんとかしろ。仕事入ってたらキャンセルでもしとけ」
「いや、そういう訳にはいかないっスよ」
地味な抵抗を見せていく。
このままいって黄瀬が拒否すれば、流れで俺も拒否できるかもしれない。
俺に新たな希望が芽生えたが―…。