第2章 兄と妹とその周辺
「私だって…期待してないわけじゃない…」
ぼそっと一人で、誰にも聞こえないように呟いた。
自分の気持ちは、自分が一番理解しているつもりだ。
幸男をそういう対象として、本気で意識しているかはわからないが、少なくとも意識はしている。
二人きりで暮らしているのだ。
意識しないわけがない。
なので、少しでもそういう事があればわかる気がした。
自分が本気なのかどうか。
だが、今までそういう事は一切ない。
嫌われているのか、ちゃんと妹として見てもらっているのか知らないが、少なくとも普通だ。
実際その方がいい。
義理でも幸男と私は兄妹なわけで、越えてははならない一線がある。
だから、もしそういう事があったとして、自分が本気で意識していたら、その感情は抑え…消さなければならない。
「再婚なんか…、しなきゃよかったのに…」
私は再び一人で、誰にも聞こえないように呟いた。