第2章 兄と妹とその周辺
「何でその考えに行き着くのよ!?」
「だって、目を合わせてくれないのってそれしかなくない?」
それを聞いた望は、再び大きなため息をついた。
「…その目合わせてくれないのって、あんただけなの?」
「知らない。でも、たぶん学校では、極力女子と関わってないと思う。最初があんなんだったし」
飲み終わった紙パックを潰して、ゴミ箱に投げる。
紙パックは綺麗な弧をえがいて、見事にゴミ箱に着地した。
「まぁ、嫌われてないでしょ。むしろ私はその逆だと思うわ」
「え、何で?」
「だって、普通嫌いな人と同居なんて出来ないでしょ。私だったら即効家出よ」
「そっか。嫌われてないならいいや」
「そうそう。まぁ、私は大歓迎よ?そうやって悩むの」
「何で?」
「だって、莉緒が普段じゃ絶対観せないような乙女になるから♡」
口元に手を持ってきて、ふふっと笑う望。
途端に、私の顔は真っ赤になる。
「誰が乙女だ!!」
「もっちろん、我がアイドル莉緒ちゃんです♡」
「ふざけんな!!そのまま死ね!!」
「きゃー、莉緒ちゃんひどい♡」
「今すぐそのぶりぶり声やめろ!!」
明らかに口調が変わり、鬼の形相になる。
このまま声を変えて遊ぶのも面倒になったようで、望は「冗談よ」と言って終わらせた。
「でも確実に幸男さんは好きだし、この子も結構意識してるわね〜。自覚あるのかは微妙だけど…」