第2章 兄と妹とその周辺
「でもおかしいわね。先月、莉緒ん家に行って会った時は普通だったけど?挨拶して、目も合わせてくれたわよ」
食べ終わったゴミを袋に詰め、紙パックのジュースを飲みながら親友は言った。
「え、それほんと?」
そうだとしたら、尚更傷付くし、ショックだ。
「うん。結構会うこと多いから、慣れてくれたんじゃない?」
「えー。じゃあ私はどうなるの?一緒に生活してるのに…、慣れてないってこと?」
拗ねたように言って、望と同じ紙パックのジュースを飲んだ。
「それはさすがにないでしょ。私は挨拶だけだし、あんたは会話できてるんでしょ?あんたの方が慣れてるに決まってるじゃない」
「でも目は合わせてくれない…」
小さな子どものように、しょんぼりしたような顔を観せた私に、望は呆れたように大きなため息をついた。
「別にそこにこだわることないでしょ?」
「こだわってるわけじゃないよ。ただ目を見て、ちゃんと話して欲しいだけ」
望は「それをこだわってるって言うの」と言って、ストローに再び口をつけた。
「嫌われてるのかな…」
ぽつりと言った。
そう思うと、結構切なくなる。